「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.16
金加工
今回は、金加工についてお話しします。
金加工とは、金や銀といった箔、金属粉などを着物に接着加工することを言います。
着物をより華やかに表現する為に行う工程で、必要以上に金加工をしてしまうと、着物としての品格がなくなり、美しさも半減してしまいます。
よって、センスが要求される工程といえます。
そして、次の刺繍の工程と共に、着物の総仕上げの役割を担います。
金加工の歴史は友禅よりも古く、桃山時代には現在に見られるある程度の技法が確立していたといわれております。
また、金加工の技法は数多く存在し、目的に応じて使い分けられています。
以下、いくつか紹介していきます。
「摺箔」
箔加工したい生地の部分に接着テープをはりつけ、摺箔する模様の輪郭をカッターナイフで切り抜きます。
生地を絶対に切らないように注意が必要です。
その為,カッターナイフは良く切れるものを使用します。
切れないものを使用すると,力が入ってしまって、生地を切ってしまう恐れがあるからです。
そして、型紙を生地の上に置き、接着剤を駒ベラという道具を使い型置きします。
型置きが終われば、ゆっくりと型紙をはがし、接着剤の上に箔を置き軽く押さえて接着します。
この時,強く押してしまうと型置きした模様がつぶれる恐れがあるので注意が必要です。
接着剤が完全に乾燥したことを確認してから,ブラシで余分な箔を取り除きます。
「押し箔」
加工する部分全体に、箔や金粉(砂子といいます)を接着する技法です。
加工したい部分に接着剤を均一に塗り、その上に箔を置き、軽く押さえて接着させます。
この時、箔がシワにならないように、箔ばさみなどであつかいます。
箔がはれたら後は自然乾燥させます。
「金くくり」
「筒描き」とも呼ばれ、着物の柄の糸目の部分を金線でなぞっていく技法をいいます。
筒状のものに金糊を入れ、金線を置いていきます。
力加減で、金線が太くなったり細くなったりするので、難しい工程といえます。
「砂子技法」
接着剤を塗った生地の上に、箔を細かくした金粉(砂子)を振り落として接着させる技法です。
砂子には、竹筒や金属筒の片方に金網を張った「砂子筒」を用います。
砂子筒に金箔を入れ、接着剤を置いた箇所に、刷毛で筒の中の箔をもみ落とします。
「切箔」
箔をさいの目に切った形や細かい糸状に切った形のものを、不規則に撒いた様に表現する技法です。
「プレス加工」
着物を染める際に、蒸し工程にも耐えられる接着剤をあらかじめ着物につけておき、特殊な機械で金箔を接着する技法です。
シリンダーの温度を上げ、圧力をかけて金箔を着物に接着させます。
以上が,金加工の主な技法です。
着物の種類や柄によって、使い分けていきます。
次回は、刺繍についてお話します。
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