「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.15
整理
今回は整理の工程を説明させていただきます。
京都では、整理屋さんと呼ばれる加工屋がこの工程を受け持っています。
重要な工程にもかかわらず、以外と知られていないのが整理の工程です。
整理とは、染色工程によって様々な加工によって変わってしまった生地の巾、長さ、風合いを最後に整える工程です。
生地に蒸気を当ててシワを伸ばし、生地幅や生地の長さを生地本来の寸法に戻します。また柔軟加工をして生地の風合いをも整える工程です。
この時に生地に張りを持たせる加工や、撥水加工や堅牢度を上げる加工、抗菌。防虫加工等様々な加工を行う事もあります。
生地と生地をミシンで縫い合わせ機械を通せるように準備した生地を、まず液柔軟剤の中を通します。
その後、柔軟機の中を通し機械柔軟を行います。
染色工程で染色用ののりや染料等により固くなってしまった生地の風合いを元に戻すために行う加工で、生地の状態により加工方法、柔軟剤の内容などを細かく変えていきます。
最後に蒸気が出ている“のし”の機械で生地幅を揃えながらしわを取って終了です。
アイロンでは伸びにくいような皴もかなり綺麗に伸ばす事が出来ます。
特に強燃糸(きょうねんし)の縮緬(ちりめん)や絞りなど濡れると縮む生地など特殊な生地を整えるのに適しています。
またこの工程は、生地の巾を揃えること以外にも表面のシボ立ち等状態を揃えることで、生地の光沢を出したり生地質を安定させる目的もあります。
職人が一反ずつ反物の種類と状態を見て、長年の経験によって生地に合わせたのしを行っています。
あまり引っ張りすぎても生地の風合いが悪くなりますし、きっちり寸法だしをしておかないと着物の仕立て上がりの寸法等の狂いが起きます。
この整理の工程も他の工程と同じように非常に専門性の高い工程で、生地の種類、生地幅、加工内容、そして所有している加工用機材によって出来ることが変わってきます。
私たちメンバーの中には、整理工程だけで10軒もの取引先があるものもいます。
次回は金加工を説明させて頂きます。
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