「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.13
「引き染め」後編
前編で説明した「地入れ」が終わるといよいよ地色を染める為の引き染めの工程に入っていきます。
引き染めには大きく分けて二つの染め方があります。
まず一つ目が、「引っきり(無地引き)」です。
その名の通り、生地の端から端まで同じ色で刷毛を使ってムラなく染めていく技法です。
薄い色から濃い色まで様々な色がありますが、特に濃い地の紫色、緑色をムラなく均等に染めるのは非常に難しく職人の腕の見せどころです。
もう一つは「ぼかし染め」です。
「引っきり(無地引き)」よりも難しく、色数が増えるにつれて手間がかかり、技術のいる作業になります。
例えば、多色ぼかし(ミックスぼかし)で染める場合、色のコントラストによってはきれいに染めることが大変難しくなります。
また、濃い地と濃い地の間に薄地を染める場合、薄地の箇所に濃い染料が付着しないように染めるのが熟練職人の経験が成せる技です。
このぼかし染めを行うにあたり、Vol.10、11でお話ししました板場の友禅工程の最後で、青花(露草の一種から採取した汁)でぼかしあたりというものを描きます。
青花とは露草から採った青い液で、色が鮮やかで水に溶けやすく下絵を書くのにとても適しています。
青花の栽培も近年減少し、天然青花は貴重な原料となっています。
ぼかしあたりにより引き染め職人は、地色とぼかし色を染め分けて染めることができます。
ぼかし染めには様々な技法がありますが、またの機会にぼかし染めの種類は説明させていただきます。
次回は、蒸し、水洗をご説明させていただきます。
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