「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.12
「引き染め」前編
「地入れ」
友禅染めにより生地に柄が染め上がるといよいよ地色を染める「引き染め」の工程に入っていきます。
まず「地入れ」という工程を行います。
「地入れ」とは引き染めをする前にする作業です。
染めむらや滲(にじ)みを防ぐための工程です。
地入れにより、伏せ糊と生地を密着させ染料が伏せ糊の内側に差し込むのを防ぐ役割があります。
地入れには、豆汁や布海苔(ふのり)液をまぜたものを用います。
布海苔(ふのり)とは、海藻の一種で糊料として適しています。
生地の種類や染料の濃度、季節により、微妙に地入れ液を調節するのが、熟練職人の技です。
まず生地の両端を張り木で引っ張ります。
張り木とは、生地をしっかり固定してシワになら無いように張る道具です。
次に伸子(しんし)針でシワができない様に細かく伸子かけをしていきます。
1反につき、約50〜60本の伸子針を使用します。
この工程により、生地がシワなく水平になり、染めむらを防ぐことができます。
そして生地の隅々まで、まんべんなく職人が丁寧に刷毛で染めていきます。
染めた生地は、天井に一反、一反吊るして
生地に浸透するのを待ちます。
最近では、職人の手間を省くため
機械地入れも導入されています。
この「地入れ」作業が終わると色合わせの工程に進みます。
次に、注文に応じた地色を生地に染めますがVOL.2で紹介した友禅糊の色合わせと同じ様に引き染めでも各工場ごとに何千、何万
という蓄積されたデータ―を管理しています。
その色データを元に配合していきます。
そしていよいよ「引き染め」の工程に進みます。
次回は、「引き染め」後編をお話しします。
0コメント