「京都 手しごと案内帖」普段の仕事場から VOL.08

図案


今回は、「本図案」を描く工程についてお話しします。

VOL.07でお話ししました「あたり」の上に紙をおき、「あたり」の線に沿って「本図案」を描いていきます。

「あたり」がきっちり描いてあると、比較的スムーズに「本図案」を描くことができます。

「本図案」は、筆、ペン、鉛筆のいずれかで描きます。

古典的な柄は筆、シャープなモダンな柄はペンといった具合に、柄の雰囲気で使用する種類を変えます。

筆で描いた場合は、線に太い細いがついて、躍動感がある図案になります。

「あたり」のように、炭で書いて間違った箇所は羽根ぼうきで消せる、このようなことが「本図案」ではできないので、とても緊張する工程と言えます。

集中力が増し仕事が波に乗ってくると、その勢いで一気に描いてしまいたいという思いから、徹夜してしまうこともあります。

精神的にも体力的にも、とてもハードな仕事であるといえます。


図案家各々には、筆法というものがあります。

例えば、同じ桜の花を描いたとしても、図案家それぞれで少しずつ形や線の太さが違います。

図案家の筆法を分析し、「古典的な草花中心の柄なら、この図案家が良い」という風に、個々の図案家の得意分野の柄を依頼します。

「利は元にあり」という言葉があるように、着物の善し悪しは、図案で決まるといっても過言ではありません。

このようなことからも、描いて欲しいイメージを資料や言葉で図案家に正確に伝えることが重要と言えます。


現在、図案家の数は非常に少ない状況です。

若手の図案家は、ほとんどいません。

昔は、徒弟制度で弟子を持ち、家に住み込ませ育てていたのですが、現在そのようなことをしている図案家はほぼ皆無です。

このままの状況が続くと、着物専門の図案家は全くいなくなることも考えられます。

そうならない為にも、図案家の若手の養成が急務と言えます。


次回は、「配色」についてお話しします。



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