「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.10
型友禅染め 前編
着物を染める柄の友禅型が完成し、配色が決まると型友禅での染色の工程に入ります。
型友禅染ではまず、VOL.04でお話しした地張りをした後、白生地の上に友禅型を置き、
前回お話ししました配色伝票を見ながら駒べらという道具を使って、職人が丁寧に染め上げていきます。
この工程を「友禅型枚数×反数」分行うため、時間と体力が要求されるとてもハードな作業と言えます。
また、
「友禅型がずれないように一枚一枚丁寧に染めなければならない」
「着物の柄以外の白生地の場所は汚してはいけない」
といったことも要求されるため、熟練した技術と精神力も必要とされます。
中でも成人式に着用する振袖は、一回のロットで、大体10反の着物を染め、また柄が豪華で多くの色数を使う為、使用する型枚数も多く、型友禅染め工程だけで1週間から2週間近くかかる事もあります。
染色工程中は、どの職人が染めても同じ振袖が出来上がるように、配色伝票を見ながら染めていきます。
生地を友禅板に張った後、次に星取りという作業を行います。
星とは、友禅型を合わすために重要な小さな丸い点(しるし)のことを言います。
この星を、生地の外側に張ったマスキングテープの上につけていきます。
この作業も駒べらとのりを使い、柄を染めるのと同じように作業します。
最近では、より高度に柄を合わせるために、あたり星と呼ばれる印をプラスしておりま
印を合わせる事により、2枚目、3枚目の友禅型の柄合わせがスムーズにできるようになります。
余談ですが、あたり星には三角、四角など色々な形があり、型屋や染工場が違うと形が変わります。
この星が間違っているとすべての型置きに間違いが起きるので、とても重要な工程になります。
ここからいよいよ着物の柄を染めていきます。
まず最初に糸目型を染めます。
糸目とは、着物の柄の輪郭線のことです。
この工程により着物の輪郭が出来上がります。
この輪郭により着物の柄のイメージが職人に伝わります。
2尺(約76cm)程度の柄を送って染めていく小紋とは違い、振袖は糸目型が1枚ではありません。
絵羽模様のため襟(えり)、胸、右袖、左袖、上前、下前、右背、左背など振袖の部分ごとに柄が違うため、糸目型だけで10枚の型が必要です。
糸目型の工程が終わると次に柄に色を染めつける工程に入っていきます。
続きは次回、型友禅染め 後編でお話しします。
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