「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.06

”駒べら”と ”刷毛”


型友禅染では染色を行う際、”駒べら”と”刷毛”と呼ばれる道具を使用します。


駒べらは、型紙の上に乗せた友禅糊を伸ばすために使用します。

駒べらには2種類あり、ゴム付きとゴムなし(桧ゴマ)があります。

ゴム付きの駒べらは柔らかい糊を使う時に使用し、糊を多めに盛ることができるため均一に染めることができます。ゴムなしの駒べらは固めの糊を使う時や、小紋など細かな柄を染める時に使い、職人は柄によってへらを使い分けています。


”刷毛”にはたくさんの種類があり、様々な用途に使用されています。

代表的なものしては、とろ刷毛・丸刷毛・引き染め用刷毛などです。

用途により使用する刷毛が異なり、刷毛の種類によって形状が異なります。とろ刷毛は平刷毛と呼ばれる平べったいもの、丸刷毛は丸いもの、引き染め用刷毛は平刷毛と丸刷毛の両方を使用します。

とろ刷毛は友禅板に生地を張る地張りの工程で使用します。VOL.4の地張りの説明にも出てきますので是非ご覧になってください。

丸刷毛は柄の中色の濃淡を出す技法である“ぼかし”の際に使用しますが、一つの色に一つの丸刷毛が必要であるため、たくさんの数の丸刷毛を使い分けて染めていきます。大きさにも種類があり、大きさによって大丸・中丸・小丸と呼ばれています。それぞれ染める柄の大きさで使い分けていきます。

引き染めや枠場ぼかしという染色工程でも刷毛は使われており、大(5寸)、中(4寸)、小(3寸)の大きさの平刷毛があります。

刷毛の材質は動物の毛で、羊やタヌキ、鹿の毛などを使っています。

羊の毛は柔らかく、タヌキと鹿は硬めです。作りたい刷毛の固さや染色用途に合わせて毛の種類も変えます。

最近では、ワシントン条約により質のいいカナダ産の鹿の毛が手に入らなくなり国産の蝦夷(えぞ)鹿の毛を使っています。 最近の刷毛は毛の質が落ち、長持ちしなくなってきたため道具を維持する事が大変になってきました。

また、駒べらも刷毛も製作する職人が少なくなり、道具が手に入りにくくなってきております。

友禅職人だけでなく道具を作る職人も高齢化が進み、少なくなっているため伝統産業である京友禅を継承するのはとても大変です。


次回は図案についてお話しします。


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