「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.05
型紙
型友禅染で着物を染める際には、型紙を使用します。
昔は和紙に柿渋を塗った型紙が主流でしたが、最近は耐久性等の理由によりクロスパターンという合成紙の使用が増えてきました。
和紙の型紙は、水に弱く伸び縮みすることから、経済的にも今の時代にそぐわなくなり激減しました。
だからといって、型紙専用の合成紙が決して安価な物という訳ではありません。
日本製の高級紙を使用しております。
安価な物を使用してしまいますと、水につかった際に伸び縮みしてしまい、型合わせがうまくいかなくなります。
型紙はすべて人間の手で彫っています。
専門の型彫職人がおり、熟練工は伝統工芸士にも認定される高度な工程です。
ベースとなる紙に写された着物の文様や柄に沿って、彫刻刀で彫り抜いていきます。
高度な技術と根気や忍耐が必要な作業です。
用途に応じて数種類の彫刻刀を使い分けています。
たとえば型合わせの目印として使用する通称「星」という小さな丸があるのですが、これを専用に彫る彫刻刀もあります。
型紙を彫る行程中に柄と柄を細く橋を渡すようにつないでおく場合があります。
このつないだ場所を”つり”といいます。
”つり”がないと彫った柄同士がばらばらになって、それぞれの位置がわからなくなってしまいます。
その為、まず”つり”をつくりながら型を彫り、その後紗張りをします。
紗とは、隙間の開いたメッシュ布のことです。
紗張りの方法は、”つり”を作って彫った型紙の裏に紙を貼って、”つり”を切り落とします。
その後型紙の表に紗を張り、型紙の裏に貼った紙をはがします。
これで紗張りは完成です。
また、紗張りをすると染色に強い型紙になります。
色糊をヘラでかく際は、紗張りをした型紙を使用します。
1人の型彫り職人が彫れる型紙は柄にもよりますが、1日10〜15枚程度です。
たとえば振袖1枚分の型を彫る場合、200枚程度の型紙が必要になってくるので、おおよそ2週間程度かかります。
京都の型彫職人は現在約40人いると言われています。
平均年齢は65才位で、若手はほとんどいません。
後継者不足は深刻な問題です。
型友禅染を維持する為には、型紙が必要不可欠だからです。
次回は友禅染で使用する刷毛、へらについてお話しします。
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