「京都 手しごと案内帖」 普段の仕事場から VOL.18

手刺繍

今回は手刺繍について説明させて頂きます。

刺繍の歴史は大変古く、5世紀の頃に仏教文化と共に大陸からわが国に招来されたといわれております。

最も古い現存している刺繍は天寿国曼荼羅縫帳と呼ばれる作品で国宝として奈良の中宮寺に伝えられております。この縫帳は聖徳太子のご冥福を祈って製作されたものといわれております。

手刺繍の技法はたくさんありますが、今回は着物に使用される代表的な三技法、相良繍い、まつり繍い、駒取り繍いを説明させて頂きます。


相良繍いは生地の表面に刺繍糸の結び玉を作る繍い方です。着物に家紋を刺繍するとき、訪問着の仕上げや花の柄の芯を繍うときに多く使用します。


まつり繍いは細い線の柄を繍うときに多く用いられる技法です。刺繍する範囲を繍い埋めるようにすることが多く、範囲によって糸の太さを使い分けることが必要です。


駒取り繍いは着物では柄の輪郭に使用されることが多い技法です。主に金糸や銀糸の太い糸を別の細い糸で繍い止めるようにします。この際、太い糸を“置き糸”、細い糸を“とじ糸”と呼びます。振袖などを豪華に引き立たせる技法です。

職人さんの繊細な技量と計り知れない経験がなければ成立しない技法のひとつです。


次回は地直しについてお話します。



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